一人暮らしに慣れてきた頃

やっとの思いで合格して4月から新生活を始める。そこで一人暮らし先の悲惨な物語を、不思議な体験をしたあとに聞かされる。ないも初めての一人暮らしでこんな事にならなくてもと思う。

新学期が始まり、すぐに大学での生活には慣れていく。引っ越した日に聞こえたあの物音は、その後特に響いてくることもなかったので、すっかり忘れてしまっていた。上の空き部屋に誰かが無断で入っていたという話も聞かない。ある日、サークルで親しくなった友人が遊びに来ることになった。こういうところは一人暮らしの気安さで、女同士、きゃあきゃあ騒ぎながらいろいろと買い込んで帰って来た。鍵を取り出し、自室のドアを開けるた途端に「臭いっ」。

一人暮らしにまたもや異変が起こる

思わず声に出していた。室内には何かが焦げたような、酷い臭いが充満していたのである。後ろにいた友人も「何これ?」と声を上げる。急いで電気を点け発生源を探すが、そんなものは見つからない。思い当たる節もなかった。生ゴミは今のところなかったし、食べ物の類は全て冷蔵庫に収めてあり、一人暮らしの無精などしていない。また、学生向けの安アパートで、ペットなども飼っていない。異臭を放っていると思われるものは、1つとしてないはず。「近くで下水工事でもやってたんじゃない?」窓を開け放ち空気の入れ替えをしながら友達が言った。

一人暮らしを友人との会話で満喫

そうかなあ。…そうかもしれない。原因に辿り着かないまま、話は結局うやむやになった。何より自分自身、大して問題と思わなかったのだ。幸いこもっていた臭いは開けた窓から出てゆき、後に残ることもなかった。気を取り直して、買い込んできた材料や飲料を広げ、「あの教授は厳しすぎる」とか「バイト先の先輩がカッコイイ」などと取り留めのない世間話に花を咲かせた。私と同じように一人暮らしの彼女は、そのまま泊ってゆくことに決定。

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